“来楽 零(GoRA)” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:来楽 零(GoRA) (2 件 / 1 ページ)

K SIDE:RED

 

“赤の王”周防尊が束ねる、炎の“徴”を刻む少年たちの集団“吠舞羅”。彼らのホームである鎮目町の一角にあるバー『HOMRA』に、周防の高校時代の担任教師・櫛名穂波が、姪・アンナをともなって現れた。両親を事故で亡くし、病のために施設に入院していたという無表情なその少女は、青い服をまとい、めずらしいものを見るように“キング”周防を凝視する―。「ミコト」。周防の夢の中で彼の名を呼ぶアンナ―彼女は“王のなりそこない”だった。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

 青を纏うストレインの少女・櫛名が“吠舞羅”と出会い、赤のクランズマンとなるまでを描いたアニメ「K」の前日譚。

 不在の続く「青」の王の器になれると見込まれ、周囲を傷つけない為に大人たちから押し付けられた運命を受け入れようとするアンナが少しずつ“吠舞羅”のメンバー達に心を開いていく姿が微笑ましい。最後は少し切なかったけど、自分の意思で周防についていくと決めた彼女の姿には胸が熱くなるものを感じました。

 アニメ版を見ただけでは解り辛い“吠舞羅”の面々の素顔が浮かび上がってくるのがとても面白い。特に、アニメ本編のしょっぱなで死亡している十束が“吠舞羅”においてどんな立ち位置の人物で、その存在が草薙や周防にとってどれだけ重要だったのかがわかるのは凄く良かった。いまいち興味が沸ききらなかったキャラクター達の動きに興味が沸くし、アニメ見直したくなってくる……っていうかアニメ本編は本当もうちょっとこの辺しっかり掘り下げられなかったんですかねえ……(1クールアニメの限界といわれたらそこまでなんですけど)

 ダモクレスの剣というわかりやすい「結末」が見えている周防・十束・草薙がどこかでそれを意識しながらもせいいっぱい楽しくやってる感じや、亡くなった青の王のクランズマン・塩津に、周防がいなくなった後の己を重ね合わせる草薙さんとか物凄く好きなんだけど、もう一組、八田と伏見が奏でる不協和音が凄くて読む度にぞわぞわする。“吠舞羅”の中に居場所を作り、周防に心酔する八田に対して複雑な感情を抱く伏見と、疑うことなく「伏見は自分と同じ気持ち」と信じきっていて、伏見の執着と苛立ちにまるで気づかない(気づけない)八田のすれ違いぶりが凄かった。この辺は最近出たばかりの「Lost Small World」でもっと詳しく語られるけども、伏見の一番近くに居た筈の八田が、十束や草薙さんが気づいていた事にすら気づけなかったのは最大の悲劇だと思う。

 しかし、個人的には最後の伏見と十束のやりとりがヤバかった!!熱くなりやすい“吠舞羅”の面々の中ではどこか穏やかで執着の見えてこない十束が、伏見に対して一瞬だけ覗かせた周防への強い執着にキュンとなる。ある意味、“吠舞羅”の面々の中で伏見と一番似てるのは十束だったんだろうなあ。

「馬鹿言っちゃいけないよ」
 十束の、笑みは含んでいるが真面目な声が響いた。
 伏見は怪訝に眉を寄せて十束を見た。
十束は笑っていたが、それはいつもの人好きのする笑顔とは少し違って、どこか酷薄にも見える笑い方だった。
「何かに執着しているような奴は、王になんかなれない」


 アニメから大分遅れて読んだのですがとても面白かったです!あと、合わせて読みたいコミック版「メモリー・オブ・レッド」。アニメでは出てこないメンバーにスポットが当たったり、夏の激ヤセ状態になる鎌本が大変ウザカッコよかったり、八田と伏見のギスギス具合に転がったり、終盤になるほど抉ってくる十束の行動に転がったりしました。面白かった!


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K -メモリー・オブ・レッド-(1) (KCx ARIA)

黒榮 ゆい、来楽 零(GoRA)、GoRA・GoHands
講談社
発行日:2012/10/12


K SIDE:BLUE

 

“青の王”宗像礼司率いる、対能力者治安組織“セプター4”。その屯所の一角にある半ば忘れられた資料室に、重厚な肉体をもつ隻腕の男―善条剛毅がいる。ただならぬ気配を放つ彼は、前“青の王”時代からの古株で抜刀術の達人だという。人気のない深夜の道場で、新米隊員の楠原剛に剣を教える善条。そこへ、室長・宗像が真意の測り知れない薄い笑みを浮かべながら現れる―。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ。新人隊員・楠原の視点から描かれる、伏見が入る前の《セプター4》の物語。

 Side:REDで王不在の旧セプター4が描かれたので、宗像が新しい王になった時の話が入るのかなとおもってたらそんなことなかった!けど、青の王になったばかりの宗像が組織としての地固めをしている頃の話。ストレインの捕縛にとんでもない大人数を動員したり、どこかまだ思考錯誤してる感じが新鮮。アニメで始めてみてなんか笑ってしまったサーベルを抜く『抜刀』動作にも意味があるんだなあとしみじみと……。

 なんかよい意味でも悪い意味でも「主人公」らしいキャラクターが居ないなあと思うKだけに、楠原の輝く主人公オーラに震える。腕は未熟だけどセプター4の隊員達や元の職場の人間達から愛され、そして王である宗像や前王の側近である熟練の猛者・善条に目をかけられ、悩みながらも少しずつ成長していく姿にニヤニヤする。なんかほんと、「K」らしからぬ王道な主人公の成長物語だ!!

 ……などとおもっていたらあっさりその考えをひっくり返してくるような後半が衝撃すぎて。Kって主人公としての人物特性を一定以上積み上げると死ぬ法則でもあるんですかね……(赤のクランで一番主人公特性を積んでいたのは十束であると密かに思ってる)。

 とにかく良い意味でまっすぐな癒し系主人公キャラだっただけに、彼の退場が伏見の入隊と入れ違いに起こったことが残念でならない。伏見と楠原の絡みも見てみたかったなあ……というか、「デイズ・オブ・ブルー」での部屋割りを見ると、もし楠原が死んでなかったら楠原と伏見が同室になってたんじゃないかしらと想像してしまう。なんか、宗像さんなら何らかの意図を持って伏見のわがままをねじ伏せて同室にしてしまったような気がする……。

 これ読んだ後にデイズ・オブ・ブルー読み直したら1話にそれとなく楠原が出てきててじんわりした。何かの形でコミカライズのほうにもでてきたらいいんだけどなあ。


4063806871
K -デイズ・オブ・ブルー-(1) (KCx ARIA)

黒榮 ゆい、来楽 零(GoRA)、GoRA・GoHands
講談社
発行日:2014/4/7